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2011-09-26 Mon 15:09
この世界には人間が存在した
この世界には魔物が存在した 魔物は人間を餌として、人々を襲い続けて来た 非力だった人間達は その魔物に立ち向かうべく立ち上がった 人々には自然界から託された力 ”魔力”があった 魔力を魔法として扱う事のでき、己のみに扱える魔道具を具現化できる”魔法使い” 魔力を具現化できない変わりにさまざまな武器に魔力を込める事のできる”非魔法使い” 人々はそれぞれの力を扱い これまで魔物と戦って来た・・・ これがどんな道へと繋いでいようとも 【2話:狙い】 【ギルド:初域の間】 そこに彼らは居た。 「ほう・・・それはお疲れだな」 樛と光はギルドに帰って来ていた。それは先ほど、悪魔が現れたからだ。 「なんだよ悪魔って・・・神話じゃねーのかよ!!」 「樛・・・声大きい」 悪魔といえば世間一般では神話とされている。神の側近やら天使の敵やら色々話題はあるが今まで一度も姿を現したことはなかった。 「神話なんかじゃない・・・悪魔は存在する・・・だがな、封印されたから今まで神話として扱われて来たんだ」 「封印?」 「Sランクの相手なんだよ悪魔は」 「「!!」」 ギルドでSランクといえば世界に数十人しかいない。 「Sランクは存在しているがあまりにも危険で封印せざるを得ない様な兵だ・・・」 「・・・」 「なるほどな・・・だからS任務が早々無いのか」当然のことながらSランクのモンスター等も早々見たことは無い。しかしその凶暴さ故、希少数だからこそのSランクなのだろう。 「しかしあくまで、この町には無いだけだ・・・街の方に行けばAだっていくらでもあるだろうな」 「他の街かぁ」 「まぁ取りあえずこれは特別報酬だ」 「ん?なんだよこれ」 「世間一般で迷惑がかかっているのにクエストに無い・・・そんな魔物などを倒すと特別報酬っていってお礼のような物が出るんだよ・・・まさにSランクとかだな」 「ふうん・・・」 「ほら光も」 「ありがとう」 「・・・」(他の街か・・・) 樛は口を開かぬまま窓の外をぼうっと見る。 樛は何かを思い立っているようだが光はあえて口出しせずに黙っている。 「まぁまた見つけたら頼むよ。この町にはSランクがいないからな 今はAの人に頼りっきりだ」 「親父・・・あんたはやらないのか?」 「俺が行っても意味が無い。そうだろう?ここは初域だからな」 ギルド長はこの意味を悟ったのだろう優しく少し切なそうな顔で樛の問いに答える。 「・・・?」 光は何の事かわからないかの様な表情をする。 外を見るとすでに空は太陽から月へと変化していた。 樛と光は数分の間ギルド内にいたが、しばらくしてそれぞれの家へと帰って行った。 【町外れ】 一人の男が誰もいない鉱山でピッケルを片手に何かを採掘している。 この町は鉱石などがよく取れる場所としてよく依頼の入る町だった。 男はまるで誰にも見つからない様な場所で鉱石を掘っている。 誰もが寝静まった時間に・・・ ジャリッ とたんその音は響いた。 男はビクリとし恐る恐る振り向く。 「誰だ?」 「やぁこんばんは・・・夜遅くまで大変ですね 仕事ですか?」 そこには暗くてよく見えないが少し背の高い男が立っていた。 「まぁ・・・な」 「よかったらお手伝いしましょうか?」 「いい・・・俺は一人でやる・・・何処の誰だか知らないがこの事誰にも言うなよ」 「いいえ・・・鉱石集めでは無く貴方の生活ですよ・・・」 「な・・・に?」 「借金に困っているのでしょう?お金が無いがギルドはいつも失敗をしてしまう・・・だから勝手に鉱石を採取し鉱石を売って暮らしている・・・こんな所でしょうか」 「なんで・・・わかるのか?」 「貴方の様な方を今まで見て来て助けてきましたからね」 「なにをしたら・・・いいんだ?わかってると思うが金は・・・」 「お金はいりませんよ・・・しかしちょっとお手伝いしてくれるだけで良いんですよ・・・・・・・」 ・・・・・・・ 【早朝】 PPPPPPPPPPPPPP!!! 最悪な目覚めだった。樛はうるさい電話に起こされた。 外を見るとまだ真っ暗だ。うるさく鳴り響く携帯を見るとまだ3時であった。 電話先はギルドだった――― 【町外れ】 「ったくなんでこんな夜中に・・・!!」 「来たな大神樛」 ――― 電話に出ると聞きなれた声、ギルド長の声が聞こえた。 だが、どこか険悪しているようにも聞こえる。 「はぁ?悪魔が現れた!?」 どうやら悪魔が現れたらしい。しかし他のギルドの人らは悪魔の存在を知らないものがまだ多い。 だからこそ俺に電話をしてきたんだろう。 しかも早急に。 「そうだ、場所は町外れの鉱山だ・・・被害が広がり始めている・・・今すぐ向かってくれ!」 ――― 町外れにたどり着くと、先日やってきた悪魔がそこにはいた。 しかし今回はどうやら1人しか見当たらない。 「てめぇはラグレス・・・!」 「樛!」 そんな時丁度光もこの場所にやってきた。ギルド長から連絡があったのだろう。 「櫻井光もきたな・・・さぁ今日もたっぷり遊んでやろう」 「ギルドから連絡あったんだけど・・・まさか」 「またあいつの仕業らしいな」 光は周りを見渡すが、やはりラグレス1人しか見当たらない。 「でも・・・悪魔にされた人は今回は・・・・」 「・・・!!後ろだ!!」 「くたばれギルドおおぉぉ!!!」 突然の出来事だった。 後ろからピッケルの様な形の武器を持った男が襲いかかって来た。 見覚えのある顔からして恐らく、この男が今回ラグレスに”悪魔化”された人なのだろう。 今回も荒れ狂ってはいるものの意思はあるらしい 樛は瞬時に取り出した鎌を扱い、相手のピッケルを止める。 光はその間に呪文を唱え、魔法を発動する。 その頃別の場所 少し離れた崖の上 彼女は月明りに照らされながらそこに立つ 碧の瞳に碧のの長い髪 その髪を後ろで括り風に身を任せている。服は至って普通だが、右の袖の部分が無駄に長い 彼女は樛達の戦う場所を見つめ その袖に隠された右腕を伸ばし 袖を捲る そして口を開いた。 場所は元に戻る 樛達は余裕かの様に人間だった悪魔と戦う。 ラグレスはその姿をただ高みの見物をしていた。 その瞬間 人間だった悪魔を除いた3人が同時に後ろを振り向いた。 「あぶねぇ!!」 樛は何も解っていない悪魔を突き飛ばし少し離れた場所に倒れた。 それと同時かと言う様に樛が元々いた場所に眩い何かが飛んで来た。 その場所は周りの地面に溶け込まない色 真っ黒に焦げていた。 「なっ・・・」 「なにこれ?!」 「あーあ、外しちゃった・・・」 ふと、何かが飛んできた先から、声が聞こえた。どうやら女の人の声らしく少し大人っぽい。 光と樛はその場所をにらみつけた。 そこには暗く闇に染まった空、明るい1つの月を背に女の人が立っていた。 崖の上に立ち、弓矢を構えている様子を見ると今飛んできたものはおそらく弓矢の矢だろう。 光は再び真っ黒にこげた地面を見る。 かすかに何か木のようなものが残っていることがわかる。 が、どう見ても人間業ではない。 「何者だ・・・?」 「まぁ、私達を攻撃してきたってことは・・・悪魔でしょうね・・・」 光と樛は目の前にいるラグレス、悪魔へと変化した人、そして崖の上に立っている女の悪魔に警戒しつつ間合いを取る。 「何しに来た、風真」 「あらぁ?折角上の方が私を派遣してくださったというのにそんな態度を取るのね」 「別に派遣をよこせだなんて俺は言ってないぞ。邪魔だ」 「何か険悪してない・・・?」 「相手の罠かも知れねえから油断すんなよ」 崖の上に立っていた「風真」と呼ばれた女は背中に漆黒の翼を広げこちらの方へ飛んできた。 勿論近くで降り立つわけではなく、間合いを取った場所で再び弓矢を構える。 あの遠い崖からココまでの距離は200m近く離れている。 そんな場所からココまでほぼ正確に弓を打ってきた風真。 それがこんな近くで打たれたら避けるのに苦労するだろう。 樛たちは技を繰り出そうとしている風真の攻撃を防ごうとする。 だが、後ろにいる悪魔はまだ意識があり攻撃をしてくる。 「ふふ、同じ人数で戦うより多い方がいいでしょうっ!」 風真はおそらくラグレスへ言葉を発しながら、しっかりとこちらをめがけて矢を打ってくる。 「お前のせいで俺の作戦が台無しだ!」 「作戦?人間を悪魔に変えるだけでしょ?それでさっさとこの子等を退治しておしまい。それだけじゃない」 「人間を悪魔に・・・」 2人はさっきよりさらに空気が悪くなっている。 樛と光は互いに自分の背を任せ、会話を始める。 「・・・光、とにかく今回もあの人間を攻撃する・・・良いな?」 「うん、わかってる・・・けど・・・」 「けど、なんだ?」 「あんな一般の人を攻撃するなんて・・・」 「・・・なら良い、俺1人でやる」 「ちょ・・・樛!!!」 樛は出した鎌を片手に持ち呪文を唱え始める。 呪文を唱えると鎌は光り、魔力が武器を包んでいく。 「サテラ―――!!」 魔法を成形しようとした矢先に、風真はこちらへ矢を向け攻撃してくる。 「そうはさせないわよ?」 「チィ・・・悪魔が」 どうも魔法を発動する前に相手の矢がこちらに飛んでくる。 地面を焼け焦がす弓矢で攻撃されたらたまったものじゃない。 恐らく摩擦なのだろう。 「樛、やっぱりあっちの悪魔を優先した方がいいよ」 「仕方ねえな・・・」 「うっ・・・」 ドサッ 樛は鎌の柄で殴り気絶させた。どうやら気絶していれば悪魔といえど起き上がってこないようだ。 光はその樛の行動に一瞬呆れたが、そんな事を気にする余裕も無く悪魔は向かってくる。 「3対2なんて面倒だろ?おめえら先に相手してやるよ、来い」 「行けるかなぁ・・・正直戦った事も無いSランクよ・・・?」 樛は相手を挑発するが光は不安そうである。 それもそうだ。相手は封印されるべき存在として今まで扱われていたSランクの悪魔。 前は相手が驚き逃げたが今回はそんな事無いだろう。戦うことを免れない。 「あいつら、どうせ俺等を狙ってるんだろ?やるしかねえだろ」 「ほう・・・良くわかったな大神樛・・・仕方ない、風真手伝うのを許可してやるよ」 「偉そうに・・・まぁいいわ?あんな奴ら私だけでも十分なんだけど」 「随分と馬鹿にされてるな俺達」 「私達Aだもんね」 「でも・・・・・別にあんな奴らそれこそ俺達二人ならいけるだろ」 「全く昔から・・・ 行くしかないよね」 風魔は弓を構えて攻撃してくる。 ラグレスは武器を持っていないのか魔法のみで攻撃してくる。 二人とも遠距離攻撃ではあるのに的確に攻撃を狙ってくる。 樛と光は間一髪の所で避ける。 「くそっ・・・かといって倒す方法全然思いつかねぇな・・・1匹ずつやるぞ」 「匹!? ・・・見たところあのラグレスって男が雷で、風真って子は風のようね・・・つまり・・・」 「俺はあの女をやるから、お前はあいつをやれ」 魔力には、強弱がある。 水は陽に強く 陽は木に強い 木は月に強く 月は風に強い 風は雷に強く 雷は水に強い つまり 風の相手には月の魔力のほうがいいことになる。 「さぁ、大人しく私たちに殺されなさいぃー・・・・!!?」 「くたばるのはお前だ・・・!」 魔力をこめた鎌を思いっきり風真に振るった。 風真はその不意をつかれ手に持っていた弓矢を落としてしまった。 「なっ・・・」 「だから邪魔するなとあれほど・・・」 「あなたも油断してると危ないわよ!」 「っ・・・!」 ラグレスが一瞬目を離したのを見逃さず光も火を放つ。 先ほどの男はまだ気絶していてどうも使えそうも無い。 ラグレスは舌打ちをし、光から間合いを取り 空へ飛び離れた。 「・・・やっぱり風真のせいで計算が狂った・・・出直す」 「えっ!何言ってるのよこんな奴ら・・・」 といいつつ風真も翼を広げなおしラグレスを追いかけていった。 さっき落とした弓矢は消えてしまったところを見ると、生成した物なのだろう。 悪魔二人は去っていった。(少し言い争っていたようにも見えたが) 倒す事はできずとも何とか追い返す事ができたので樛はとりあえず男に視線を戻す。 「・・・で、どうやって戻すんだこいつ」 「・・・回復したら治らないかな・・・ヒーリング」 「治るわけねぇだろそんな生ぬるいも・・・・・・・・・・・・」 光がヒーリングを施すと男の傷は見る見る消え、翼と模様も消えていった。 今回はどうやら呪いが薄かったのかあっさりと消えた。 「なんかあっさり治るもんだな・・・これなら誰にでも治せそうなんだけど」 「誰にも治せないから、狙われてるんでしょう私達」 「さて・・・本当にそうだかな・・・」 【ギルド:初域の間】 勿論いつもどおりそこにギルド長はいた。 「悪魔は逃がした けど人間は元に戻したぜ」 「おぉ、お前らお疲れ様!ほら報酬だ、少し弾んで置いたよ」 今回は依頼を受けてきたが正直相手を倒しては居ない。聞いていたのだろうか。 「・・・親父聞いてたか?貰える物は貰うけど 俺ら倒してないんだぜ悪魔?」 「そうだよ、倒しても無いのに報酬なんて受け取れないよ」 「黙れ光」 光が余計な一言を付け足す。 これで本当に報酬がもらえなくなったらどうしてくれるんだまったく。 「いいや、今回はあの男が暴走していたから呼んだんだ。治してくれただけでも十分だ、ありがとうな」 本当のところ、回復魔法だけで(しかも光のみ)治しただなんて言えはしないが あえて言わず樛は黙って報酬を受け取る。 もう時間は夜中の3時を回っている。 用はこれで終わったので帰っていいと ギルドのマスターに言われたのだが 樛は掲示板眺めつつ足を動かさない。 帰らないのかと進めるがやはり足を動かさず、変わりに口を動かした。 「よし親父、俺・・・明日ここ発つよ」 「!・・・どうして樛!」 突然の発言に光は振り返り、ギルドマスターも目を丸くしている。 「あいつらは俺たちを狙ってきてる。だからこの村にいたらこの村が危機にさらわれるし・・・それに」 「それに・・・?」 「いい加減B以下のクエストに飽きてたんだ。旅だってしてみたくなってな」 ギルドマスターは何も言わず腕を組んで樛をまっすぐ見ている。 一方光はそんな樛を見て唖然としているが、その後決心したかのように 「じゃあ、私も着いていく」 「何でだよ!?」 「樛と同じ理由かな」 「・・・お前がいなくなったらこの町は一体ダレが・・・」 「ここは初域の間・・・新人からベテランはいくらでもいるわ」 樛はその光の真っ直ぐな目に負け、一息ため息を付いてギルドマスターへと再び顔を向ける 。 「・・・と、言う事だ親父 良いよな」 ギルドマスターは何か言いたそうな顔をしているが 俺達との付き合いは長い。 俺達の性格を理解してなのかやがてはあきらめ口を開く。 「お前らは決めたら 曲げないからな・・・どうせ駄目って言っても行くんだろう」 「さすが、わかってるじゃん」 ギルドマスターの許可も出た。 俺は少しうれしかった。近くの町程度なら依頼で何度も行った事はあるが こういった”旅”というものは一度もしたことがないためだ。 ひょっとしたら過去に行った事があるのかもしれないが記憶が俺には無い。 それに、その無き記憶も思い出す事ができるかもしれない。俺達の親も見つかるかもしれない・・・ そういう面では悪魔に感謝している。 が、やはり悪魔は悪魔。いつまた狙ってくるかわからない・・・ 「どうせ行くならこれくらい持っていけ」 そういうとギルドマスターは 地図と方位磁石、後真っ白の本を樛達に1つずつ手渡した。 「・・・地図と磁石はわかるけど、この本何?」 「これは魔法の力を使い、紙から紙へと文字などをコピーする事ができる本だ。ペンなどでメモもできるが、魔法を使えば写真に模様などもコピーする事ができる。この旅先で役立つだろう」 「そんなものが・・・ありがとう!」 どうやら何だか恐ろしく便利なアイテムをゲットした。 こんなものがこの世に存在していたなんて知らなかった。 そういうことを考えるとこの世にはまだまだ知らないものがたくさんあるのだろう。 樛達は自前の鞄にその貰ったアイテムをしまった。 「礼なんていらないよ・・・ただ二人とも・・・死ぬなよ」 「わかってるよ」 旅は過酷なものになるんだろう。悪魔が幾度か狙ってくるだろう。 この村付近以上に恐ろしいモンスターもいるだろう。 命の危険と隣り合わせの旅になるんだろう。 死んではならない、死んだらそこでゲームオーバーだ。 それを心がけねばならない。 その後光達は準備をし、初域を後にした。 |
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2011-07-15 Fri 19:21
この世には
天界・魔界が存在すると言う。 天界には天使 魔界には悪魔がいたという そこから遥か離れた場所 地界 そこには人が住む。 それぞれは混ざる事無く絡む事無く 暮らして来た。 そんなある日お尋ね者として地界にやってきた一人の天使と一人の少年を中心としたお話。 時は2XXX年 夏だった―――――――― 「暑いなぁ・・・バイトめんどくせぇ~」 「頑張りたまえ大神君」 「うわ、その口調がまた面倒くさい」 八月二十日 後十日程で夏休みも終わってしまう。 彼、大神 樛(オオカミ ツキ)高校一年生はまさにこの夏休み真っ盛りだった。 と同時にバイトも地獄の様にはいっていた。 身長は170程の成長期。 一人暮らしで、毎日の様にバイト 勿論学校にもきちんと通う(たまにさぼる) どこにでも普通にいそうな高校生 髪の色は除いて・・・ とても校則としては認められんと言うばかりの水色の髪に蒼の瞳。 しかしこれを本人は地毛だと言う。 瞳の色からして外人だろうと認識されているが、顔は日系 こんな彼だが普通の高校生として今まで暮らして来た。 しかしこの夏、彼には青春のセの字もなかった。 彼女もつくっていないため友達と遊ぶ事ならいくらでもあったが ほとんどはバイトでつぶれている 「あぁ・・・疲れた・・・家帰ったら何食うかなー」 バイトを終え家へ帰る道を歩く。 辺りは既に真っ暗で、町中の中には電気の消えている家もあった。 樛の歩く道は夜は人通りも少なく 一時間に数人歩く程度だ。 そんな危ない道を通る。 そんなときだった 家の近くまで歩いて来たら 何かが倒れていた。 樛は仰天した。 なぜならそれは一人の人だったから――― 「え・・・何・・・コイツ」 暗い町中に一人倒れている。 恐る恐る樛は顔を覗くとどうやらそれは女の子の様だった。 桃色の短い髪に整っている(だろう)顔。白いワンピースをまとった少女 樛は一瞬目を疑ったが間違いなく彼女はそこにいた。 そこに倒れていた。そんな彼女に一瞬目を惹かれた。 しかし生死もわからず彼女はそこに横たわっていたので樛は取りあえず生死を確認するため彼女をゆすぶってみた 「おい・・・生きてる・・・のか?」 話しかけるが目を覚まさない。 これは救急車を呼ぶべきかと思った直後 「ん~・・・むにゃ・・・」 俯せで倒れていた彼女は突然体勢を変え再び寝だした。 「寝てるのかよこいつ・・・まじかよ面倒だなー!」 思わず彼女の行動に頭を抱えてしまった。何故こんなところで寝ているんだろうか。 見た目からして樛と同じような年の感じの子だ。お酒が飲めるはずも無い。 取り合えずこのままにしておくにはいかないよな・・・ "それは白く大きな建物、城と呼ばれる物" そこに一人の女性が立っていた その女性の髪は風になびいている。 「お母様ぁ~!」 後ろから子供の声が聞こえたと思うとその女性に小さい女の子が飛び付く 「あらあらどうしたの光?」 「あのねあのね!今日あっちの森でね!」 光と呼ばれた子供がはしゃいでいると遠くの方で爆発音が聞こえた。 彼女は音と同時に驚いた。 遠くの森では爆発が起きたせいか火がもえさかっている カタカタと光が震えていると光の母親は光の方を向いた。 「光、早くここから離れなさい」 「え?おかぁさま?」 「ごめんね光・・・」 母親は光の目の前で呪文を唱えだす。 光はその魔法を理解したのだろう、必死に母を叫ぶ。 しかし母親はただ ただ光を守るため――― さっきまで眠っていた少女は目を覚ました。 樛はそんな彼女を見て目を丸くした。 「え・・・あっと・・・」 「・・・・夢・・・・」 彼女はただぼーっとしてる 樛は何もしゃべらない彼女をしばらく見ていたがあまりにも何の反応も無いままが続いたので 口を開く。 「気分はどうだよ女」 もっと他にも言い方があるだろ!! と自分に突っ込みつつ彼女の反応を待つ。 「はっ・・・あれここはど・・・こ」 「え・・・俺の家だけど」 樛はあの後道端に倒れてた彼女をここまで運んで来た。 流石に放置などできなかったからだ。 だからといって流石に男の家に連れ込んじゃまずかったか・・・ とりあえず目を覚ましたので一安心をしていると 「貴方が私をここに?」 「まぁそうだけど?」 「その間誰かに狙われなかった??」 突然この女は何を言うのだろうか? 樛は何もわからず別に何もなかった事を伝えた。 その後彼女はほっとしたのか息をつき改めてこちらを向いた。 「私の名前は櫻井 光(サクライヒカリ)。助けてくれてありがとう」 「俺は大神樛だ」 「樛ね、けれどとても地界人とは思えないわ」 樛は言葉を失った。聞き慣れない言葉だった。 地界 それはこの地上の事を言う。 「なんだそれ・・・ちかい?」 樛は顔を歪めた。すると光は驚いた様にこちらを見た。 「あら?貴方知らないの?」 いやいや、地界って何だ。誓いか?普通知らないだろ。 「地界とは天界と魔界を繋ぐいわばここの事」 樛は開いた口がふさがらず光の話に驚いている。 そしてさらに思わぬ言葉まで口にした。 「私はその一つ、天界からきた天使よ」 「へぇ・・・天使なのかぁ・・・」 呆気にとられながら口を動かすが 「は?!天使!!???」 再び驚きの表情へと変わった。 この世界では天使や悪魔などおとぎ話にすぎない。 ましてやこんな高校生が信じるはずも無い。 取りあえずこいつは頭を打ったに違いない。記憶がおかしくなっているんだ。 と心で何度もつぶやいた。 頭を打って記憶が変わったとなると元の記憶も無いんだ。 などとぶつぶつ考える。 「あの・・・・樛?」 いきなり驚いたと思いきやブツブツと独り言を喋りだした樛に少しおどおどする光。 「そうか、お前はきっと天国の様な素敵な場所で暮らして来たんだな。とりあえず・・・頭大丈夫か?どこか打ったんだろ?」 「まさか信じて無いの?!」 「信じるかぁ!!!?」 光はその言葉に呆れ、なら証拠を見せましょうと一言放ち 目を瞑り精神を安定させだした。 え? 樛は驚きと言うより言葉を失った。 光が目を瞑った途端 光の翼から純白の綺麗な翼が生えた。 これが写真なら合成と言うに違いない。 しかし樛はそれを今はっきりとこの目で 生で見たのだ。 白く輝く服に桃の髪 そして目を開き初めて知った樛と同じ蒼い瞳 その光の背中には白き翼 言葉を失い、正直に答えるならその姿に見惚れた。 「ね?これで信じてくれるかな樛」 樛は光の答えにただ頷く。 夏休みの終わりに見知らぬ女の子に出会うのが有り得なくて 目の前の光景がありえなくて 何か新鮮な気持ちになった。 ぐぅ そんなとき何か音が聞こえた。その音を聞き、樛は我に返った。 「そ・・・そうだ私何も食べて無いんだった・・・」 光は顔を赤くしつつお腹を押さえてしゃがみだした。 「ぶっ・・・・天使が腹減るとかわけわかんねー・・・」 樛はつぼった様だ。お腹を抱えて笑いだした。 大きな声で笑うのをためらっているのだろうが笑いを堪え切れてないのは明確だ。 「いいでしょ!人と変わらないのよ!もうっ」 きっとこいつは空腹で倒れていたのだと把握した。 「悪かった悪かった・・・今から俺も飯行こうと思ってたところだ。奢ってやるよ」 「そんな悪いわよ!」 「女が気にするな。取りあえず看病は最後までしてやるよ」 樛は立ち上がり光を誘導した。 夏休みに出会った二人。有り得無い展開。 そんな運命に巻き込まれたがゆえ二人の運命も変わる。 ご飯を奢ると言われついて来た光。その光に道案内をする樛。 時刻は22時をまわっていた。 そして近くにあった店へと入り席に座るとメニューを渡された。 実は光は地界に来たばかりなので食べ物などがほとんどわからない。 似た食べ物などはあるが味が違うのだろう。 樛は淡々と決めていったが光はなかなか決まらないらしい。 しかしある一品のメニューに目が行った。 光はそれを指差した。 「ん?何々・・・・ってコーラじゃん?!」 「コーラ?」 「炭酸ジュースだよ、俺は好まないけど・・・」 光はひたすらコーラに目が行っている。 あまりにも決まらないので樛は軽い物を数品頼んだ。 勿論コーラも。 その頃どこかの路地裏。 二人の人がいる。 一人は金髪の長身の男、もう一人は魔女の様な格好をした女の子 どうやら二人は何かを探している様だ。 「この街に落ちたんだな?」 「間違いないよ・・・僕の目を疑ってもらっちゃ困るなぁ」 「・・・」 金髪の男は何か言いたそうにするが あえて何も言わず、後二人は別れて何かを探し始めた。 「なにこれすごく美味しい!地界の炭酸は素敵ね!」 光はさっきからコーラに夢中になっている。 天界にも炭酸はあるらしいがやはり味などは違うらしい。 「炭酸の何が美味いんだか・・・」 炭酸が苦手な樛にはそれが理解できなかったが どうやら光は相当好きらしい。実はこれで三杯目だ。 「炭酸はこのしゅわしゅわさが良いのよ」 「まじでわかん―「まって」」 突然 光は樛の言葉を止め後ろを振り向いた。 樛は目を丸くしている。 光はとにかくここから立ち去ると言い出した。 そのため樛もお金を払い店を後にした。 外に出ると光は直ぐさまこちらを向いた。 とても真剣で少し悲しそうな目。 このままこの人を巻き込む訳にはいかない。 あいつらに見つかる前に・・・この人の記憶を・・・・ 自分を助けてくれた樛を巻き込みたくない。 だけど・・・・と光の心も揺らぐ。 光は何も理解していない樛を見て無言になる。 「どうした?光」 「樛・・・あの――――」 光の口が止まった。 光は顔がさっきより真剣そうな顔で後ろを振り返った。 ゆっくりと。真剣というより焦っている様にも思える。 樛もつられて光の視線の先を見ると そこには二人の人がいた。 一人は金髪の少年、一人は帽子を被った茶髪の少女 少女は一見魔女の様な格好をしている。 光知り合いなのだろうが仲は良さそうではない この人達とどういう関係なのだろうか? 「ようやく見つけたよ光」 茶髪の少女が言う 「手間取らせやがって・・・今日こそ覚悟しろ」 金髪の少年が言う 「私は何があろうと負けない」 光が言う 樛は何のことかもちろん理解できないが ついさっき光に言われた言葉を思い出す。 "誰かに狙われなかった?" たしかそんな様なことを聞いた。 ひょっとして彼らのことなのだろうか? 樛が考えている間に話は進む 「せっかく撃ち落としたのに見失っちゃって・・・おまけに見つけたと思ったら回復してるし」 撃ち落とす? ひょっとして―――― 「光が倒れていたのってまさか・・・」 「ちょっと羽根をね・・・それより樛、下がってて・・・本当は巻き込みたくなかったんだけど・・・」 真剣な表情 あの時思い詰めた顔をしていたのはこのせいだったのか 俺の様な一般人を巻き込みたくないから・・・ 俺の様な・・・”一般人”・・・? 自分は確かに一般人であるはずなのに 何故か心の奥で疑問が生じた。そう、俺のような・・・一般人・・・? 「一般人でも邪魔されたらこっちも面倒だからね!ちょっと大人しくして貰うよっ!木々よ集え!」 茶髪の少女が何か叫び出した。 すると何もない樛の足下のコンクリートがひび割れ、樛のまわりを数本の木が囲み始めた。 光と樛が気付いた時には既に遅く、その木々は樛の手足を掴み身動きが取れない様にした。 「樛!!ちょっと!彼は関係ないでしょう!?」 「君と一緒にいたからひょっとしたらの事を考えてね・・・そこで大人しくして貰うよ!」 「なっ・・・」 ついさっき、光という少女に会い そして会って一時間後にはこの有様 光は一体・・・ 樛の心では謎が深まるばかりだった。 樛は何もできずタダそこに止どまっている。 光は早く樛を助けようとしているのだろう何かをぶつぶつ呟き出した。 「炎よ我に力を・・・ファイヤーアロー!!」 光は突然呟きだしたかと思うと手から火の球を幾つか出し相手に放つ まるで手品を見ているかの様だ。 だがこの状況では手品と言う物ではないだろう。 天使はこんな事までできるのだろうか。 空想上でしかないであろう"魔法"と言う物なのだろう。 あの敵二人は光に夢中だ。 その隙に樛は取りあえずこの木を何とかしようと試みる。 だがその瞬間木に更に力が入った様に感じる しかし違った。 "木に力が入った"のでは無く"樛自身の力が抜けていた" 「なんだっ・・・これ・・・」 「樛!?一体樛に何をしたのよ!」 「おい公魔、あの男に何かしたのか?」 金髪の男は茶髪の少女のことを公魔と呼んだ。そういう名前なのだろう。 しかし公魔はその姿を見て首を傾げている。 「どうなのよ!樛に何かあったらタダじゃおかないんだから!」 「悪いけどねぇ・・・僕だってあいつを縛り上げる以外何もして無いよ?ましてや弱化効果なんて」 「ぐっ・・・」 樛は苦しむだけ。 力もうまく入らずただもがく。 2VS1じゃきついのだろうか? 光は悪戦苦闘する。樛は苦しみつつも光から目を離さない。 動くのは口だけ俺は足手まといになってる・・・ 光は・・・俺を巻き込みたくないと言った。 どうも―――ためらっている様にしか見えない。俺達一般人を守るために・・・ 「光・・・お前はこんな物なのかよ」 「?!」 その樛の言葉にみんな反応する。 「樛・・・」 「俺の事は気にするな・・・力あるならそいつらにでかい奴ぶち込んでみろよ!」 「なんだあいつ?弱ってるくせに」 「毒牙!余所見するな!」 「もう・・・どうなっても知らないんだからね」 光は樛に一言言われ目付きが変わった。 さっきの様に迷いの顔は無く、やるべき事を決めきった顔をした。 「貴方達ごときが私を敵にまわした事を後悔しなさい!炎よ風よ・・・集い舞うが良い・・・"フライドルシャス"」 光の元に風が集まり光の周りには炎が立ち込めた。 そして互いは混ざり一つの魔法へと変化した。 「お前・・・・まじで・・・何者だ・・・・」 「私は・・・・王女」 辺りが瞬く光った――― 気がつくと家だった。 俺は気絶していたのだろうかベットで寝ていた。 あの締め付ける木も無くなり、力も元に戻ってる。 光がここまで運んでくれたのだろうか? そういえば光はどうなったのだろう。 樛は起き上がり居間へ向かった。 寝室と居間は直ぐ隣りの部屋でドアを開けたら直ぐに居間と言った感じだ。 そのドアを開けると光が部屋の直ぐ入口に座り込んでいた。 正確に言えば寝ているのだろう。 こうして見るとただの女の子なのだがやはり光には謎が多過ぎる。 しかしただ言える事は あの後光が魔法か何かで敵を追い払ってくれたおかげで 俺たちは無事にここにいる。 そんな事を考えていたら光が目を覚ました。 少し眠たそうな顔をしているが直ぐ近くにいた樛を見て直ぐに目が冴えた。 「樛・・・巻き込まない様にしたつもりなのに・・・ごめんね」 謝りたかったのだろう。 この一言を言うために光はずっと待っていた。 ただの足手まといにしかなかった俺を 「もう体調は大丈夫?」 「平気だよ、心配するなって」 「樛に・・・出会って色々して貰ったのに・・・私は迷惑ばかり」 「迷惑なんて言うなよ!俺はなんだ・・・俺こそ足手まといに・・・」 樛は言葉が詰まってしまったがその言葉を遮る様に光は喋った。 「足手まとい何てとんでもない!樛のおかげで吹っ切る事ができたんだもの」 「え?」 「私はあの時迷っていたの。戦うと必ず誰かを傷付ける事になる。だから全て相手をなるべく傷付けない様にしていた」 光はだから躊躇っていたのか。天使も大変なんだな・・・ なのに俺は平凡に学校に行き友達とはっちゃけ バイトに行って仕事をして・・・こんなただの高校生・・・ いや、地界人と天界人は大違いだと樛は悟った。 まだ自分と年もそんなに離れていないだろう天使はなぜ追われているかわからないが ・・・そういえば そのとき光が・・・口を開いた。 「樛・・・これ以上は本当に巻き込めない・・・だから・・・貴方の記憶を少し弄らせて貰うわ」 「え・・・どういうことだよ」 まだ・・・何も聞いていない 「私は私である限りこの身は狙われ続けるの・・・」 そんなのおかしいだろ 確かに光と自分は赤の他人だ。 だけど何故か心が熱くなる。 (他人であろうとも彼女を放ってはおけない。) だがこのまま記憶を持っていてももやもやが残るのに変わりはない。 (足手まといにもなる) だったら記憶は無くした方が良いのかもしれない (しかしどうせなくなる記憶なら―――) 「光・・・お前は一体・・・何者なんだよ・・・記憶操作するなら良いだろ。"今"の俺には教えてくれよ」 「樛・・・私は・・・天界の王・・・即ちお父様の後継者の・・・王女」 あの時気を失う前に聞いた単語だ。 つまり、光は王女だから狙われているのだろうか? 違うにしろ、光が狙われるのには必ず理由がある。 「できるならこんなことしたくなかった」 「俺もできればされたくないけどな・・・」 「ごめんね・・・・樛」 「気にすんなよ」 光は俺の額にそっと手を当てた。 温かい。 内心どこかで、この時間が続けば良いのに そう思い始めていた。 しかし俺の様な一般人が首を突っ込んで行ける様な事態では無い。 しかし 俺は目が覚めたら俺は何もかも忘れる。 この気持ちも消え去る。 「樛、ありがとうね」 「あぁ」 「・・・行きます」 樛はぐっと目を瞑った。少しでも意識をしない様にするため。 光は魔法を唱えている。段々体が暖まって来る。 魔法の力なのだろう じゃぁな・・・光 一時の時間をありがとう――― 心の奥底でそっと呟くと眠気に襲われ樛は倒れ込む様に眠った。 光はそんな樛を受け止め、魔法を使いベッドへと移動させた。 「樛・・・」 光は言葉を最後まで言わずその場を風の様に去った。 樛が目を覚ました頃には既に朝だった。 いつの間にベッドに・・・などと思いつつ記憶を振り絞る。 一昨日バイト帰りに・・・・ 光に会った――― その記憶が出て来た瞬間ギョッとした。 光に消されたはずの記憶がはっきり残っていた。 確かに魔法をかけられた。消されたはず。 なのに―――― 『樛・・・』 眠る直前に聞いた言葉さえもはっきり覚えている。 光の敵に襲われた事さえも覚えている。 光が天使で・・・王女だということも・・・ 「どういう事だよ光・・・記憶が消えて無いぞ・・・」 樛はその場で固まり やがて立ち上がりドアを開けて外へ走っていった。 |
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2011-07-15 Fri 10:08
ドスッ ザシュッ
暗い夜。 たくさんの木々が並ぶ此処で一人の男が鎌を振り回し凶暴と言われている肉食獣を倒している。 彼の周りには数体の肉食獣・・・ 彼以外にそこに人はいなかった。 森の中にいる人は彼ただ一人。 それでも彼は凶暴な肉食獣を相手に一人で戦っていた。 「ギィィィィィッ・・・」 そしてそこにいたモンスターは全て息絶えた。 【Trap Magic -白黒時計の罠-】 「これで目的の数は倒したな・・・さって・・・金でも貰いに行くか」 大神 樛(おおかみつき)それが彼の名前だった。 髪は水色の髪で、目も青。これでも日系の出身である。 樛は鎌についたおそらくモンスターの血を布で拭い取る。 しかし綺麗に拭い取るわけではなく、血が取れればいいと思っているのだろう。偶に汚れが取れていない場所もある。 そして彼は手から光を発すると 手に持っていた鎌を一瞬にしてどこかへと収納した。 此処では”魔法”を扱う事が出来る。 水 陽 木 月 風 雷 という6つの属性があり属性は誰しも1つだけ持っている。 常識的に2つ持っているものはいないと言われている。 そしてそれらの属性に応じた魔法を扱う事が出来る。 熟練者となれば大きな魔法が扱えるが、魔法といっても簡単なものばかりだ。 しかし属性を持ち合わせていても魔法が使えるというわけではない。 魔法が使えない者もいる。 だが、魔法が使えない者も決して魔法が使えないと言うわけでもない。 修行しだいでは元から魔法を使える人並みの力を発揮するものさえもいる。 だがその人らが扱う魔法属性は上記の6つで呼ばれることは無く 氷 火 土 星 雲 電 と言われることになる。 これらは多少威力が弱いのだが自分の元々持ち合わせている属性の魔力を修行しだいで使える属性だ。 水なら氷 陽なら火 木なら土 月なら星 風なら雲 雷なら電 といった具合で魔法を使えない人も使う事が出来る。 そして魔法を扱えるものは熟練しだいで自分に合った武器を生成することができる。 これは元々は魔法を扱える者にしか扱えない代物だ。 つまり魔法を扱えないものは修行をしても武器を生成する事はできない。 この世界では「ギルド」と呼ばれている場所でクエストと言う依頼を受け、その依頼をこなしていくことが手っ取り早いお金稼ぎになる。 依頼内容は畑仕事や子供の世話からモンスター(獣)や盗賊等の討伐等がある。 勿論クラスなどもあり S~Eまである。 クラスに応じた依頼を受ける事が出来、モンスター退治はCクラスから受ける事が出来る。 Eは子供の世話・草刈など誰でもできるものが主 Dは畑仕事や荷物運びなど力仕事。 Cは村に侵入してくるモンスターの討伐。街外への荷物運びなど。 Bは中型モンスター・盗賊などを指定された地域に討伐しに行くもの。 Aは上級と呼ばれているモンスターの討伐・暗殺依頼等が主。 そして SはSランクにしか頼めない依頼があるといわれているが・・・その詳細を知るものはほとんどおらず Sランクの者でもAランク以下の依頼を受けている者が多い。 【ギルド-初域の間-】 「依頼のBランク終わったぞ」 樛は自分の依頼紙を取り出し、依頼所へ紙を置く。 依頼所のオーナーは驚く事もせず紙にサインをし、樛に渡すお金を数える。 「お疲れ様。最近は良い依頼が入ってこないな」 「本当だよ・・・おかげで俺もランクが全然あがらねえし・・・」 樛がギルドで嘆いていると 後ろのほうからこつこつと足音が聞こえた。 周りにいる男性はいっせいにそちらのほうを向いた。 桃色の短い髪をなびかせ、彼女は樛の近くへ歩いてきた。 「な~に言ってるのかな?Aランクで魔法使いの樛君ー?A程の依頼が来ないなんて平和な事じゃない」 「げっ・・・光・・・お前だってAランクの魔法使いだろ・・・」 「何よその顔!」 「別にぃ・・・ただ余りにも平和すぎてつまらないだろ?」 櫻井 光(さくらいひかり)。樛と同じ魔法使いで、勿論武器も持ち合わせている。 樛・光共々Aクラスの称号を持っている。 2人とも年は17でありながら高い身体能力を持っている。 2人がぎゃーぎゃーと口げんかをし始めると回りの人々はその名を聞いてひそひそと話しをし始めた。 「Aランクの樛と光って・・・あの2人か?」 「確かSランクに最も近い2人って言われてる・・・」 「Sランクって世界に5人いるかいないかだろ?それに近いなんて・・・しかもまだ子供なのに」 20未満のAランクは早々おらず、Sランクはまだ1人もいないと言われている。 未成年にしてSに近い実力を持つ2人はギルド中で専らの噂となっている。 樛はその噂を聞くのがいやなのか、ため息をひとつきついて机の上の報酬を手に取った。 「・・・親父、金貰ってくぞー」 そういっている時点ですでに樛は扉の前まで歩いていっていた。 「あぁ、また良い依頼入ったら知らせるよ」 「おーう」 こんなやり取りばかりだ。 昔ではAクラスの依頼などはごろごろしていたが、最近はギルドメンバーも増え 今ではAクラスの人間でもBを受けるのが一番いい報酬となっている。 樛は再びため息をついて扉から外へ出る。 「あっ待ってよ樛!」 光はそれを見逃さまいと、樛の後を追っていった。 ギルドはしばらく2人の噂で盛り上がり、後に依頼の話へと戻った。 樛が歩くこと数分。 光がようやくそれに追いついてきた。 どうやら息を切らしている様子。 「早いわよ樛・・・」 「何だついて来たのかよ・・・」 「何よ悪い?」 「別に。きても何も無いぞ?」 「樛どうせ依頼とは関係ないことでもやりに行くんでしょ!私も連れてってよ」 ここ最近Bの依頼しかなくていらついているのか、樛は依頼を終えた後決まってどこかへ消える。 家に帰るわけでもなく街のどこかに行方をくらます。 光は今度こそと樛の後を追い毎回見失うのだが、今回は見失わずに追いついたようだ。 幼馴染の樛は常日頃危なっかしいことばかりしているので、心配になっていた。 だからこそ、光は今回こそ樛についていこうと決心をした。 「はぁ?何でお前を連れて行かなきゃいけないんだよ・・・」 呆れた顔をして樛はため息をつくが、光はそれに反論する。 「私だってAよ?」 「Aだからってなぁ・・・・・ほら着いたぞ」 たどり着いた場所は、岩だらけの町外れ。 「・・・え・・・・此処ってただの町外れじゃない!」 「だから言ったろ何も無いって・・・」 町外れは周りが岩だらけで遠くを見ると街が小さく見える。 本当は此処も町の中なのだが近くに洞窟があるため家を建てていない。 そんなことをもめあっているその時だった。 「うわああああ!!たすけてくれええ!!!」 何処からか男の人の悲鳴が聞こえた。 「「!!」」 「今の悲鳴・・・」 「・・・あっちだな・・・」 光と樛は声のあった方向へと走っていった。 進んで行くと逃げる人々がいる。 背中に鞄を持ち合わせているところを見ると鉱石採掘でもしていたのだろう 構いもせず進むと一人の男性がかなり焦った様子でこちらを見て叫んで来た。 「おい、あんたら逃げた方が良いぞ!あいつらは化け物だ!」 「化け物だぁ?甘く見るな・・・俺は巨大なモンスター位・・・」 「違う!!あいつらはモンスターなんかじゃない!!」 「モンスターじゃない・・・?」 「とにかく逃げた方が良いぞ!」 その男はそれだけ言うと猛ダッシュで走り去って行った。 光は逃げて行く人々を見 さっきの言葉を思い出していた。 嫌な予感しかしない。 誰か暴れてでもいるのだろうか? 「・・・行くぞ」 「うん」 さらに進むんで行くと そこはさっきまでの空気とは何かが違った。 空は赤ずみ 雲はどす黒く 空気もよどんでいた。 殺気な様な物を感じ樛と光はその殺気を感じると共に反射神経のごとく武器を取り出した。 樛は月の魔力を宿した鎌 光は陽の魔力を宿した仕込み扇子 辺りを見回すが誰もいない しかし殺気は消える事が無い。 光は不信に思い扇子で防御体勢に入った。 樛は構えを止めず 魔力を感じとる。 心を無にし 周りの魔力を正確に読み取る。 「・・・上?」 その瞬間 突然空から矢が雨の様に降り出した。 光はそれを感じとるとすぐさま防御をする。 樛は避けながら当たりそうになる矢を片手で掴みへし折っていく。 矢が降り終わり二人は上を向いた。 その瞬間 二人は息を飲んだ。 その空にはモンスターでは無く 人の姿をし 背中に漆黒の翼を宿す者が2人いた。 一人は髪は銀髪の短髪の男でこちらを見ながら腕組みをし笑っている。首には複雑な模様らしきものが描かれている。 もう一人は茶髪の短髪の男で笑顔は無く それどころか殺気な様なものを発している。 額にはやはり模様があるがあまり複雑ではない。 恐らくあの殺気は茶髪の彼のものなのだろう。 だがどこか荒れ狂っている様にも思える。 「なに・・・あれ・・・翼・・・?」 「この世の人間に翼を生やす事などできるはずが無い・・・そんな魔法も存在しない・・・誰だてめえら」 銀髪の男は喋れるのだろうか、樛達の問いに答えるべく口を開いた。 「俺か?人間と言えば人間だが化け物と言えば化け物・・・人々は俺らを”悪魔”と呼ぶ」 「あく・・・ま?悪魔って神話の中の話でしょう?存在するはずが無いわ!」 「そうだな・・・俺たちは神話とされている・・・だからこうして表に出て来てやったのさ」 悪魔――― 「煩悩」や「悪」、「邪心」などを象徴する超自然的な存在といわれている(Wiki参照) 彼らは人の弱みに付け込み、悪の道へと陥れるとこの世界の言い伝えである。 しかしあくまで言い伝え、そのような履歴が残っているわけでもなく今まで姿さえも現さなかったため もはや神話として扱われていた。 だが、そんな神話にしか登場しないはずの悪魔が今上空にいる。しかも2人。 どうやら人の言葉は通じるらしいが――― 「そんな・・・まさか」 二人とも驚きを隠せない様子だが、驚いても仕方が無い、目の前にいる事は事実。 しかし、ふと樛は茶髪の男に見覚えがあることに気づく。 「おい悪魔・・・隣の茶髪の男・・・そいつは人間だろ」 「!!」 悪魔は樛の問いに一瞬言葉を失い驚いている。 隣にいた光も同時に驚く 肝心の茶髪の荒狂った男は顔色一つ変えない。 「樛・・・あの人が悪魔なら隣の人だって・・・」 「お前・・・あの顔に見覚えはないか?」 「・・・ギルドにいた人・・・?」 先ほど、ギルドを出るとき 樛と光をあまりよく思わない人たちがこちらをにらみつけてきたという事があった。 勿論樛はまったく気にせず出てきたが(光は気づいていない) その内の一人であることに間違いは無かった。 「・・・」 「へぇ・・・お前等ギルドの者か・・・ご名答・・・こいつは元は人間だ」 「元はって・・・」 「悪魔を神話の世界から現実へ知らしめるために・・・俺ら悪魔は人々の闇、弱みに付込み・・・かかった者を悪魔へと生まれ変わらせているんだよ」 「つまりその人の弱みに付け込んで悪魔にしたと言うの?!」 「そうだ・・・何をそんな怒る・・・まぁ安心しろ・・・お前等の様な餓鬼は直ぐに始末してやる。いけ・・・!!」 「うおおおお!!!」 殺気までピクリとも動かなくなかったその化け物は目の色を変えさらに殺気を出し、大剣を振り回しこちらへと飛んで来た。 樛はその大剣を鎌の柄で受け止める。 どうやら力は強いようだが力が樛達と上かと比べると――― 「くっ・・・戦うしかないの・・・?」 「そうだな・・・何処の誰だか知らないが俺達を相手にした事を後悔するんだな」 二人は武器を構え、相手の動きを読みながら口元を動かす。 光は少し気が乗らないながらも口元を動かす。 呪文を唱え始める・・・ 「今 月の力を借り・・・魔法を生ずる」 「ここに 陽の力を借り魔法を生ずる・・・」 「サテラス!」「風林火山!!」 「うあああああ!」 光と樛が魔法を発すると 男は魔法を食らい倒れた。 すると気絶した男の額からは模様が消え、元の姿へと戻った。 「・・・なんだと!!!?」 銀髪悪魔は目を丸くして絶句している。 「言ったろ?」 「後悔させてあげるってね」 幾度も戦い慣れしている二人には簡単な仕事だったようだ。 「悪魔の癖に弱いんだな・・・これなら良くてBってところか」 樛はそういいながら男の生死を確認するが、どうやら息はあるらしい。 命に別状はなさそうだ。ただ、気を失っているだけらしい。 しかし、悪魔は倒されたことに驚いてはいなかった。 もっと別のことに絶句していた。 「まさか・・・悪魔にした人間が戻るなんて・・・!!」 悪魔の言い方からして、普通は悪魔にされた人間は元に戻らないらしい。 樛はそんなことも知らず、相手を挑発する。 「どうした?次はてめぇがくるか?」 「貴方も今直ぐ同じことしてあげるわよ?」 光もそれに乗るように挑発を始める。 だが、悪魔はそんな強気の2人を見て笑い出す。 樛と光は顔をゆがめる。 「くっ・・・あはははは・・・人間やるねぇ・・・ここまでやる餓鬼だとは計算外だった・・・何者だ」 「俺は大神樛・・・月の魔法使いだ」 「櫻井光・・・陽の魔法使いよ」 「ほう・・・俺はラグレス・・・属性は雷だ」 銀髪の悪魔はラグレスというらしい。 気持ち悪いくらいに挨拶をするものだから樛は少しぞっとした。 「ご丁寧にどうも・・・」 「貴方達の目的は何なの?本当に悪魔を復活させる事なの?」 「あぁ勿論・・・俺達の第1目的は悪魔の復活祭だ・・・これから楽しくなるぞ・・・はははは!!」 ラグレスと名乗る男はそう一言残すと一瞬にしてどこかに去っていった。 辺りにあったさっきまでの空気はいつもの町外れの空気・・・いつもどおりに戻った。 さっき光と樛が倒した男は気絶し、今は眠っている。 光はその事を思い出すと男に近づき魔法を使う。 「ここに 無の力を借り魔法を生ずる・・・ヒーリング」 光が新たに呪文を唱えると、男の傷は見る見るうちに治っていった。 無の力とは無所属魔法の事で 魔法を使うものなら誰でも使える魔法だ。 「全属性共通魔法」又は「無属性魔法」と呼ばれている。 無属性は回復等の技が多い。 「・・・治ったのか?」 「うん、今回もばっちり!」 「俺はお前みたいに完全回復とか出来ないから尊敬するぜ・・・」 「樛位だよー回復技が苦手なの!」 無属性魔法は誰でも使えるため、回復魔法も誰でも扱うことができる。 回復魔法は基本中の基本だ。 だが、樛はその回復魔法が大の苦手なのだ。 「・・・そうか?」 「そうよ・・・あ・・・そういえばこのこと・・・報告した方がいいよね」 今まで存在しなかった大きな敵が現れたのだ。 さっきの悪魔との会話からして、どうやら最近悪魔が復活したようだ。 まだギルドも知らないところが多いはずだ。 「・・・悪魔の事か・・・仕方ない・・・もう一度ギルドに戻るか」 「うん、そうだね!」 樛は男を担ぎ、2人はギルドへと戻っていった。 【???-集いの場-】 この世のどこかにある暗い場所 そこで彼らは話していた。 ウラ「で・・・帰ってきたのかラグレス」 ラグレス「今までの実験上・・・悪魔にした人間が人間に戻るケースは無かったんだぞ?」 龍神「確かに面白い・・・興味深いな・・・」 ウ「龍・・・ラグレスを甘やかしちゃ駄目だ」 ラ「お前は黙ってろよ・・・どうだ龍・・・暫くこいつらの元に刺客を送るの面白そうだと思わないか・・・あれが偶然だったのか・・・それとも」 龍「ぜひとも前者を願うがな・・・まぁ試してみないと分からんな」 ウ「知らないよ・・・後者になっても」 龍「その時はその時だ・・・大神樛・・・櫻井光・・・こいつらの情報を集めるんだ」 ウ「龍が言うなら仕方ない・・・私に任せろ」 ラ「頼むよお嬢さん」 ウ「ラグレスあんたは黙ってな」 龍「これからが見物だな・・・くくく」 |
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2011-07-15 Fri 02:07
随時追加していきます。 |
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2011-07-15 Fri 01:00
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